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鉛レス・カドミレス高耐食性黄銅棒 キーパロイ ZCメタル
▼種類と特長
ZCメタル-1: 鉛レス・カドミレス鍛造用高耐食性黄銅棒
優れた熱間鍛造性を有し、熱間鍛造後に所定の熱処理を行うことで耐脱亜鉛腐食性を得ることが出来る鍛造用の高耐食性黄銅棒です。JIS H 3250 (銅及び銅合金の棒)に規定する”C6803”に対応する材料です。
ZCメタル-2: 鉛レス・カドミレス切削用高耐食性黄銅棒
優れた耐脱亜鉛腐食性と機械的性質及び切削性を有する切削用の高耐食性黄銅棒です。JCBA T204(日本伸銅協会技術標準)及びJIS H 3250 に規定するC6803の耐脱亜鉛腐食快削黄銅棒 ”C6803BD-FRD” に対応する材料です。
・ZCメタルは、米国のASTM B967の”UNSNo.C49300”に対応する材料です。
・ZCメタルは、改正米国飲料水安全法(SDWA)及び関連するNSF/ANSI 61 に対応する材料です。
▼諸特性比較
特性
キーパロイ
ZCメタル
快削用黄銅棒
C3604
鍛造用黄銅棒
C3771
青銅鋳物
CAC406 / CAC406C
耐脱亜鉛腐食性
耐エロージョン・コロージョン性
機械的性質
切削性
被削性
表面粗さ
熱間鍛造性
─
─
◎は優れる、○は同等、×は劣る
▼化学成分(代表例) (%)
材料
Cu
Bi
Sn
Fe
特殊元素
Pb
*Cd
Zn
ZCメタル
60.2
1.2
1.2
0.1以下
0.4
0.01以下
10ppm以下
残
C3604
59.0
─
Sn+Fe 1.0
─
3.2
一般材仕様
CD75仕様
残
C3771
59.0
─
Sn+Fe 1.0
─
2.5
一般材仕様
CD75仕様
残
CAC406
85.0
─
5.0
0.3以下
─
5.0
─
5.0
*Cd(カドミウム)の含有量の保証値は、CD75仕様では75ppm未満です。一般材仕様にはありません。
▼機械的性質(代表例)
用途
材料
製造方法
(サイズ)
性質
引張り強さ
(N/mm²)
0.2%耐力
(N/mm²)
伸び
(%)
硬さ
(HV)
シャルピー
衝撃値(J)
鍛造用
黄銅棒
キーパロイ
ZCメタル-1
押出棒(ø30)
412
183
33
110
21.0
C3771
押出棒(ø33)
350
140
45
90
25.8
切削用
黄銅棒
キーパロイ
ZCメタル-2
引抜棒(ø26)
407
227
30
110
18.5
C3604
引抜棒(ø24)
450
340
26
140
30.0
青銅連鋳棒
CAC406C
連鋳棒(ø30)
286
─
33
65
─
*引張試験にはJIS Z 2201の4号試験片を使用しました。
*シャルピー衝撃試験は、JIS Z 2202の2mmUノッチ試験片を使用しました。
▼耐脱亜鉛腐食性
試験方法
日本伸銅協会技術標準 (JBMA T303-2007)
| 日本工業規格(JIS H 3250-2010の附属書B)
評価基準
最大侵食深さ:100μm以下 (日本伸銅協会評価基準びJIS H 3250-2010の附属書Bに規定する第2種適用)
最大侵食深さ=(脱亜鉛腐食深さ+溶解腐食深さ)の最大値
日本伸銅協会評価基準及び
JIS H 3250-2010の附属書B
による評価基準
評価ランク
最大侵食深さ(μm)
第1種
70 以下
第2種
100 以下
第3種
150 以下
適用する評価ランクの種別は、個々の製品規格で規定されるか受渡当事者間の協定により決まります。
試験結果
キーパロイZCメタル-1(鍛造品)
キーパロイZCメタル-2(棒材)
C3771(鍛造品)
C3604(棒材)
JBMA ×200
JBMA ×200
JBMA ×200
JBMA ×200
最大侵食深さ:86μm
β、γ相栓状型腐食
最大侵食深さ:49μm
β、γ相栓状型腐食
最大侵食深さ:220μm
層状型腐食
最大侵食深さ:340μm
β相栓状型腐食
*キーパロイZCメタル-1の鍛造品は、鍛造後に所定の熱処理を行っています。
*棒材の脱亜鉛腐食試験は、全て棒材の横断面部で行いました。
評価結果
キーパロイZCメタルは、いずれの材料も評価基準の第2種(最大侵食深さ100μm以下)に適合します。
▼耐エロージョン・コロージョン性
試験方法
隙間噴流腐食試験
試験結果
材料
ZCメタル-1
(鍛造品)
ZCメタル-2
(黄銅棒)
C3771
(鍛造品)
C3604
(黄銅棒)
CAC406C
(青銅連鋳棒)
5時間後の
表面写真
腐食形態
層状型腐食
層状型腐食
環状型腐食
環状型腐食
層状型腐食
侵食深さ(μm)
71
55
620
430
56
質量損失(mg)
100
250
480
500
240
評価結果
キーパロイZCメタルは、CAC406Cと同様の層状腐食で全体が均一に腐食されており、優れた耐エロージョン・コロージョン性をもった材料です。
▼耐応力腐食割れ性
試験方法
こちらを参照
試験条件・判定基準
サンプル
供試材にRc1/2の管用テーパねじを加工したサンプル
(写真参照)
棒材
鍛造品
供試材
キーパロイZCメタルー2(黄銅棒)、C3604(黄銅棒)
キーパロイZCメタルー1(鍛造品)、C3771(鍛造品)
相手材
ブッシング SCS13A 1/2×3/8 ... PB(1)1/2
締付けトルク
9.8N・m
雰囲気
常温アンモニア雰囲気(14%NH
3
溶液)
腐食時間
4H、8H、12H、24H、36H、48H
判定基準
割れの有無を目視および実体顕微鏡で観察
○:割れなし
△:割れあり(目視判定不可、実体顕微鏡にて判定)
×:割れあり(目視判定)
試験結果
種類
材料
各腐食時間における判定結果
4H
8H
12H
24H
36H
48H
切削用黄銅棒
キーパロイZCメタルー2
C3604
種類
材料
各腐食時間における判定結果
24H
72H
168H
鍛造品
キーパロイZCメタルー1
C3771
評価結果
キーパロイZCメタルー2(切削用黄銅棒)は, C3604(切削用黄銅棒)と比較してほぼ同等以上の耐応力腐食割れ性を有しています。
キーパロイZCメタルー1の鍛造品は、C3771の鍛造品と比較してほぼ同等以上の耐応力腐食割れ性を有しています。
▼熱間鍛造性
試験方法
アプセット試験
試験結果
材料
キーパロイZCメタル-1
C3771
写真
温度(ºC)
670
700
730
760
790
670
700
730
760
790
アプセット率
(%)
45
50
55
60
適正鍛造温度(ºC)
740〜780
680〜740
*鍛造性評価は外観に割れがない場合は○、割れが見られるものは×としました。
評価結果
キーパロイZCメタル-1は、C3771材と同等の広い範囲のアプセット率及び鍛造温度で良好な鍛造性を示しています。
適正鍛造温度は目安であり、実際のワークで試打ちの上、最適な鍛造温度を確認してから鍛造することを推奨します。
鍛造品の熱処理条件について
キーパロイZCメタル-1は、耐脱亜鉛腐食性の確保と残留応力除去をするために、鍛造後に実体450〜480ºCで2時間以上の熱処理を行なって下さい。
キーパロイZCメタル-1の適正鍛造温度は740〜780ºCですが、800ºCを超えて鍛造した場合、金属組織が針状になり耐食性や機械的性質が低下する恐れがあります。
▼切削加工性
旋削および穿孔加工条件
方法
加工条件
切削速度 (m/min)
回転数 (rpm)
送り量 (mm/rev)
切込み量 (mm)
切削状態
旋削加工
113
1,800
0.06
1.0
ドライ
穿孔加工
28
1,500
0.05
─
ドライ
試験結果と切粉の観察
方法
C3604
ZCメタル-2
CAC406C
旋削加工
切削性指数:100
切削性指数:71
切削性指数:87
穿孔加工
切削性指数:100
切削性指数:72
切削性指数:89
*切削性指数(%)=([C3604の切削抵抗値]/[各材料の切削抵抗値])×100
評価結果
キーパロイZCメタル-2の切削性は、切削抵抗がC3604、CAC406Cに対して高い値を示しますが、切粉形状は細かく、切削条件を大幅に変えることなく加工することが可能です。